目次
- イントロダクション
- 今日のテーマ
- それぞれについての解説
- 再度ポイントのまとめ
- カウンセリングの現場では・・・
- 逆説的考察
- 映画で考える心理学
- エンディング
今日のテーマ
- ジェフリー・アラン・グレーのいう不安の定義を解説します
不安もいろんな説やとらえ方があるので、その1つを紹介します。
それぞれについての解説
- 不安とは葛藤である
葛藤とは、クルト・レヴィンのいう、
1.好きなもの2つのうち、どちらか1つしか選択できず、1つはあきらめなければならない。(接近-接近型葛藤)
2.嫌いなもの2つのうち、どちらか1つを選択せねばならず、1つしかあきらめられない。(回避-回避型葛藤)
3.1つを選択するとに良い面と同時に悪い面が共存しており、2つを切り離すことができない。(接近-回避型葛藤)
に通常分類されます。
アメリカの心理学者 クルト・レヴィン
ジェフリー・アラン・グレイはイギリスの心理学者でパブロフの犬でおなじみのパブロフの弟子です。彼は動物学や進化論の観点から、生存・繁殖などの視点で不安の感情の存在を見ようとしました。つまり、不安も別に神様が人間にいじわるをしたくて与えたわけではなく、かならず生きるために、生き残るために、子孫をのこすために、なんらかのメリットがあるはずだという視点です。
グレイによると、不安とはこのレヴィンのいう葛藤の3に近いものだと考えたようです。例えば、近づきたい、あるいは近づかなければならない人物や物、事柄がある。そして、そこにはいままでそのエリアに踏み入ったことがない(不案内)ので落ち着かない感じがしたり、うまくいかないかもしれない、うまくいかなかったときに(漠然と)よくないことが起こるかもしれない感覚に陥ったりします。未経験がゆえに距離感が不確かでわからない状態です。この対象に近づきすぎると、もしかしたら、恐怖が発生してその場から全速力で退避してしまう場合もありえます。また逆に、闘争心むき出しに対象に対して戦いを挑むということもあります。またそれらとは逆に対象に対する関心や好奇心が強く湧き起こったり、それに没頭してしまい、自分という意識が吹っ飛ぶと同時に不安が消し飛んでしまう(対象と同化してしまう)場合もあります。このことから考えると、不安を感じるというのは、まだこれら領域までは到達していない、どれを選ぶかの判断がつきかねる距離感で停止している状態だといえるのです。そしてこの緊張した不安定な葛藤状態が長く続くことが、強迫性不安症とか神経症と呼ばれるものの正体です。
つまり、不安とは距離の取り方に迷っている瞬間とも言えます。そうとらえられれば、不安のない人はいないことに気付けます。違いは、その不安に長くとどまるかどうかですね。
再度ポイントのまとめ
- ジェフリー・アラン・グレーはイギリスの心理学者でパブロフの弟子
- 不安は葛藤状態。対象との距離感の混乱による落ち着かない状態
- 逃げる、戦う(喧嘩OR没頭)、現状のまま停止があり、停止すると強迫性不安や神経症も
カウンセリングの現場では
敵の正体を知るのは大事なこと。ただこの説があなたにとって正しいのか?はあなたが確かめるしかありません。つまり説の理解よりも実践のほうがはるかに重要だといえます。葛藤と知ったのであれば、それになんとなく合点が行ったのであれば、それをどう脱するかを思考錯誤しましょう。ということをアドバイスしています。
逆張りを考える
不安の利点は別の場所でお伝えしています。
映画で考える心理学
モテキ
久保ミツロウというマンガ家の描いた同名のマンガを映画化したもの。80年代に、主人公が成長していくために日々鍛錬しているシーンとか、わかれて打ちひしがれて日々を送っているシーンなんかは、歌詞がシーンと連動した音楽を1曲流しながら、セリフなしのシーンを展開していくパターンが多数使われたけど(幼いころはあの型があるのがハリウッド映画とさえ思っていた)、それのオンパレード。原作の漫画のタイトルがすべて日本の90年代だったぐらいだから、そこも配慮したんだろう。おまけに1曲はミュージカルになっていたりして、その過剰な演出に笑えた。ストーリー自体はモテない主人公が30歳すぎて初めて女性が寄ってくるという状況を描いたもの。主人公はいままで女性との付き合いがないので、些細なことに大きく振り回される心情をコミカルに描いたコメディ。些細な失敗をどう捉えるか?つまりそれを次のエネルギーに、しかもすぐに瞬時に転換できるか?それとも失敗した自分に囚われて失敗がさらに怖くなるというサイクルを頭でぐるぐる回して動けない自分をプロデュースしてしまうか?2つの違いで人生の勝負が決まっているといっても過言ではないでしょう。この瞬時にエネルギー転換するための失敗学みたいなコンテンツはまた書いてみたいと思います。
笑えます・・・が自分も場面によってやっていそうで怖いです。