目次
- イントロダクション
- 今日のテーマ
- それぞれについての解説
- 再度ポイントのまとめ
- カウンセリングの現場では・・・
- 逆説的考察
- 映画で考える心理学
- エンディング
今日のテーマ
- 不安を解消する具体的なアイディアを知ることができます。
- アクションで、不安が減ります
- あくまで解消で、解決には構造の理解と取り組みが必要であることを知ります
それぞれについての解説
- 深呼吸する/瞑想する
- 運動する
- 自分を取り巻く環境を強制的に変える
- 書く、書く、書きまくる
- しゃべる、しゃべる、しゃべりまくる
- 逃げていることをはっきりさせる
- 客観的に、相対的に見ようと試みる
- 覚悟を決める、腹をくくる
- 忘れる
深呼吸は、意識がコントロールできる自律神経系(まあ、簡単に言い換えれば心臓のようにあなたの意識とは関係なく動いている)の器官の一つです。意識的に深く呼吸をすることにより、交感神経が一旦穏やかになり、変わって副交感神経の活動が活発になります。不安や恐怖に囚われてしまうと、交感神経の活動が活発になり、頭の大脳皮質のうちの前頭葉の活動が弱まります。戦闘か逃避か?の選択の中、体がその準備をしている状態から解放され、ロジカルやクリエイティブに該当する箇所が再び活動を始めます。アドレナリンでなくセレトニンが分泌され、心地よくなってきます。これら、通常コントロールできない自律神経系の働きを意識的に行えるのが、深呼吸や瞑想です。
運動も脳内の副交感神経の活動を促すセレトニンを意図的に誘発できる行為といえます。運動は脳が鬱や不安になりにくくする効果があります。体をしっかり疲れさせ、アドレナリンをしっかりつかいきることで、自律神経を極限まで使い切れば、睡眠も深く質のよいものとなります。テニスなどゲーム性の高いスポーツは考えている時間がありませんので、これも心配や不安を止め、考えない脳の状態を作り出します。
脳の働きは環境によってつくられます。言い換えると、無意識が外部の刺激に対し自動的に反応している部分が人間は多いということです。例を出しましょう。タバコを吸うのは意識的な活動なのでしょうか?おそらくなんとなくニコチンが恋しくなり(それもほぼ無意識)、知らないうちにタバコをさがしていたり、気づいたら喫煙場所にむかって立ち上がって歩いていたり・・・。ほとんど意識的でなく、脳みそによる反応なのではないでしょうか?つまり外部の刺激で人間は勝手に動いているもの(反応しているもの)なのです。つまり不安、恐怖、心配、怒りという感情も、いまその場所にいることによってつくられている要素が大きいのです。「あ、俺不安になっている」「どんどん怖くなってきている」と気づいたら、場所を移動してみましょう。なるべく自分が好きな場所に移動することをお勧めします。
スケッチブックと、ペンを取り出して、今ある気持ちや境遇、どうしたいと思っているのか?何が苦しいのか?など思いつく限りどんどん書きまくります。誰かに見せるものではありませんので、きれいに書く必要もないですし、汚い字でも構いません。とにかく動く手に任せます。するとあなたの意思とは別に手が勝手にどんどん書く状態になることにあなたは気づくでしょう。それでも辞めずにどんどん書きます。できる限り大きな紙がよいでしょう。人は余白を見ると埋めたくなりますので、余白の存在は書くことを促します。なるべく一人になって、静かな朝なんかにやるとよいでしょう。終わったら読み直してみましょう。自分を真の意味で客観的に見つめられるでしょう。(注:長期的な不安、つまり不安ではなく長期の不安症状態であるのであれば、この方法は悪い方へ自己を説得してしまう可能性があるのでお勧めできません。)
これは言うまでもありませんね。こもってしまったエネルギーを出す。発散する。そして、声にすることによって、自分が何を考えているのか?本当にそう思っているのかを実は人間は整理しているのです。(注:長期的な不安、つまり不安ではなく長期の不安症状態であるのであれば、この方法は悪い方へ自己を説得してしまう可能性があるのでお勧めできません。)
お化け屋敷で一番怖いのが次にどうなるかわからないからです。ホラー映画の怖い部分は、幽霊など怖いものが出てきたときではなく、何が出てくるのかわからないという部分です。夜の森が怖いのも、闇に何がいるかどうなっているかわからないからです。360度強い白色の光を当てたら、銀座の大衆の前にさらされたら、その不安や恐怖は存在するでしょうか?ですから、あなたの不安の原因と直面し、白日の元にさらすのは、不安の解消につながります。
白日の下にさらすとはいえ、不安の対象は実際には見えないものであることが多いでしょう。これが原因かなと思うことを、客観的に、相対的に見ようと試みることで、その発生の可能性や被害の規模などを見ることに没頭しましょう。この没頭する作業そのものも、不安を解消してくれます。(ひとは2つのことを同時に考えられないので)
客観化&相対化をしっかりやると、物理的、金銭的、時間的、役割的、さまざまな理由や制限により避けられないこと、できないことが判明します。または2つのうちどちから1つの選択肢しか自分の手元にないことに直面するでしょう。また、決めないこと、今この場でできることをしないで不安でいることにより失うこと(時間やお金、信用、自分に対する自身や尊敬)もみえてくるでしょう。そうすると覚悟を決め、腹をくくりやすくなります。くくることにより、不安は解消していくでしょう。あとは課題に取り組むだけです。
ここまでやってもどうにもならないことは世の中には存在します。それに執着することをやめましょう。辞めるための儀式(さよならパーティーとか)をやるのもよいアイディアです。なるべく派手にかつちゃんとやりましょう。
最後に、こういったワークでいまそこにある不安はある程度小さくなりますが、
不安は発生する構造があって、初めて発生するものです。気持ちが落ち着き、
本気で解消したいのであれば、その構造を見つめて、その構造を変えることに次は取り組みましょう。
再度ポイントのまとめ
- 不安解消のためのワーク
- 不安を本格的に解消するには
深呼吸・瞑想、運動する、環境を変える、書きまくる、しゃべりまくる、逃げていることをはっきりさせる、客観的・相対的に見る、覚悟を決め腹をくくる、忘れる
不安が発生する構造を知り、その構造を変えることに取り組む
カウンセリングの現場では
以上はあくまで、自分が比較的不安に陥りやすいと思っている人向け。周りからも不安にとらわれてばかりで実生活に弊害が出るまでになった人は別にですが、それ以外の人には有効です。それよりも、そういった不安が出てくるのは、クライアントさんの過去のトラウマと同時に、クライアントさんが、頻繁に出会う人(パートナーや、会社の仲間、近所のママ友、サークルの仲間)とのコミュニケーションの問題だったりします。相手に起因する問題などがあり、そういった点を注意深く見ていきます。あなたのこういう面と、彼や彼女のこういう面がふれて不安が起こっていることもありますので、単に不安を解消するのではなく、発生源も見ていきます。
逆張りを考える
不安の反対を考えるのに、リフレ―ミングという手段があります。不安を感知した際に、「私ってラッキー!だってとっても不安なんだから!」と声に出していってみましょう。すると、頭は不安の利点を真剣に探し出します。整合性のとれないことを脳が放置しておけないからです(認知的不調和)。無理やりにでも理由づけを脳はしてしまいます。何度もいいますが、不安は決して「快」ではありません。その「不快」を避けたいというエネルギーはすさまじいものです。「私ってラッキー!だってとっても不安なんだから!目標をかなえるために使えるエネルギーをみーっっけ!」
映画で考える心理学
危険なメソッド
「フロイト」と「ユング」の出会い、師弟関係、関係の破たんまでを描いたもの。同時にユングが奥さんとは関係が破たんしているけど、奥さんが資産家の娘でそのお金をあてにしていて別れられず、そんな中、患者でのちに心理学者となる「シュピールライン」と不倫の関係にもなってという泥沼も、ドキュメンタリータッチで淡々と描かれている。あくまで精神的な「父」として、ぶれもなくふるまおうとするフロイトは自我(エゴ)そのもの。そのようにふるまおうとするも、自分の母性を求める衝動と戦い、自分の本心を無視できないユングは自己(セルフ)に近い。シュピールラインは災いをもたらす「パンドラ」。パンドラは抑圧された自己(セルフ)に働きかけて、日常を壊す。そんな風に見ても面白い。