【映画で考える心理学】おおかみこどもの雨と雪

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この記述は筆者の勝手な遊びであり、映画制作関係者の見解とは一切関係がありません。あらかじめご了承ください。

この話のメインテーマは?

この話は、狼男と結婚した女性が生んだ姉弟を、狼男の旦那の死後、母が育て上げることを描いた、子供が独り立ちをするまでの話であり、女性が母親となっていく話で、テーマは人の成長だというのは、ご覧になられた方が誰しも感じるところだと思います。この映画では、狼がなぜ、人の成長に用いられているかというところがポイントになると思います。

なぜ狼男なのか?

人がもつ狼のイメージの一番の特徴はその二面性です。狼は小さなグループで山や森で暮らしています、寒いところでも生息して言いますし、山のような起伏の激しいところでたくましく生息しており、体型がやや大きくスマート、走るのも速いことから、その気高さ、力強さ、知恵の象徴としてのイメージを持っています。またコミュニティから外れて1匹で行動するものもいることから、孤高のイメージもあります。反面、それと同時に、そのグループで他の動物を捕食する肉食性から、凶暴性や恐怖、攻撃性、などの負のイメージも併せ持っています。夢分析でも狼の夢は、身に危険が迫っている兆候だったり、力強い知恵の登場を表していたりします。そして、この2面性とさらに人間性を併せ持ったのが狼男です。この人間性の下にある狼男の部分は、実は我々誰しもが持っている部分で、これに渡りをつけていくことで、人は大人になっていきます。言い換えると、狼男をモチーフに用いることにより、成長における、人間の中にある凶暴性などの本能と、大人である部分との折り合いが描かれていると思います。

なぜ雨と雪?

どちらも狼が生きていくうえでも、人間が日常生活をこなすうえでも一般には困難な気象状況です。雨も弟も、陰陽で言う陰。狼も人間が表向きの陽であれば陰の存在です。狼は夜行性ですし、月と一緒に写っている写真も多く出回っております。夜も月も陰の象徴です。雨は、実際におとなしいキャラクターとして描かれ、あまり多くを語りません。唯一男性だということだけが陽(私が、男が男性と決めたわけではないですよ。中国古典です。)それだけ目立たないキャラクターでいて実は自分の中にある力強さ(決断力、行動力、忍耐力、継続力など)は相当なものとして描かれています。静かな深いれべるでの陽を併せ持っている。その演出のための雨なのかなと解釈しています。実際最後に雨(気象の方)のすさまじさが描かれ、陰の力強さを見せつけられます。雪は陰陽でいうとすべて陰なのですが、陽気さを前面にだして、逆に陰の問題点や弱点に光が当てられています。幼少のころにエンジョイできた狼性が自分を苦しめ始めますからね。

なぜ雪は人間になり、雨は狼の道を選んだのか?

雪は、自分の中にある凶暴性や攻撃性に苦しみ続けます、自分の生まれを恨んだりもします。ですが、作中にはっきりした描写はないものの、中学に進学する道を選んだということは、最終的には、その狼の部分と渡りをつけ、人として生きることを選択するようです。感情のまま生きる、つまり心の中の狼の部分を暴れるがままにさせておくのではなく、それをしっかり支配下に置いた状態で生きる大人になったわけです。(押さえつけ抑圧するのか、受容するのかわかりませんが、作中では、押さえつけた狼性が、突然露見して、男の子をひっかいて怪我をさせるシーンもありますので、抑圧の危険性を雪は認識しているように見えます)。

雨の場合、自分の中にある凶暴性や攻撃性を否定せず、その存在理由を突き詰めていき、それに従い生かす人生を選択します。自分の感性や素質を否定する社会に対してなじめませんでしたが、その感性を否定せず、信じ、生かしたわけです。これって人間が自分の無意識の中に存在する狼の部分とどう渡りをつけるのか、というものをテーマにしているように見えます。

花について

神話や童話の場合、特に西洋では通常は女性が大人になっていく姿が描かれることが多く、家から追い出されて、困難を克服しつつも、男性と出会い結婚する。結婚が女性のゴールとして描かれ、結婚してからの成長というのはあまり描かれません。日本の昔話でも結婚からの女性を描いたものはまれですが、この作品は結婚して子供が生まれてからがスタートになっています。とはいっても、旦那が急死するというどうしようもできない予測もできない事件が原因で、究極の状況に追い込まれるという点も同じだし、他に選択肢がないなか、ほぼ運命に任される形で選んだ選択肢の中で、精神的に大きく成長するという点も同じ型ですね。

作中、お母さんの花が、私はこうしたい、こうやっていきたいという要素はほとんど描かれておらず、雪と雨が生きたいように生きることを、一歩下がって暖かく見守り続ける存在として描かれています。子供の病気や喧嘩、葛藤に振り回されつつも、逃げることはなく、子供にとっては、つねにそこに存在し、受容の暖かさのシンボルとして描かれています。


お父さん(狼男)のなくなり方が悲しすぎました。

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